安東発 「全国大会挑戦物語」

広島市立安東小学校
研修部  木村理恵

 全国大会をふり返るにあたり、安東小会場で3年生が提案した単元「広島の味挑戦物語」に倣って「挑戦」をキーワードに安東会場の成果と課題を報告させていただきたいと思います。

挑戦その1 安佐南区初の全国大会会場校

 本校にとってまず最初に突き当たった壁が学習材の開発でした。広島の地域性を生かした上で、市中心部から距離のある安東の子どもたちにとって切実感の持てる学習材は一体何があるだろうかとずいぶん悩んだものでした。最終的には各学年の学習材が安佐南区のシンボル・アストラムラインの沿線の風景をくり広げる結果となりました。
 3年生で公開した「広島の味挑戦物語(広島菜の巻)」では子どもたちは単元を通して担任も驚くほどに飽くことなく学習に取り組むことができました。その背景として実際の栽培活動や生産者との幾度にもわたるかかわりを通して、子どもたちが「日本三大漬け菜」であることを実感できたことが大きかったのではと分析しております。4年生「安東橋物語を作ろう!」では学区にかかるどこにでもあるような橋を取り上げました。この学習を通して子どもたちは地域でよく会っているおじいさんを「すごい」と思うようになったり、今まで見過ごしていた「地域にあるものをよく見て、意味を考えるようになった」りとふり返っています。5年生「くらしを守る防災情報」では子どもたちにとって訪ねやすく、調べ活動を進めやすい学習になりました。その成果か、「すぐ身の回りにずいぶん情報があって、それを上手に活用していきたい。」と考えるようになりました。6年生「アジア競技大会と広島」では広島の新しい役割を考えていく中で自分たちの地域の歴史的背景を学ぶことができ、「自分たちも一緒にやっていきたい。」という思いが芽生えるまでになりました。
 確かに地味であり、単元構成について反省も残っていますが、地域に根ざした学習材であったため、結果的に子どもたちにとって現実味のある学習になったのではないかと結論づけています。
 学習材の開発に限らず、全国大会を初めて行う土地で全てが手探り状態で始まったことが、何よりの挑戦だったように思われます。

挑戦その2 内容構造図の設定

 次に学習材を探すにつれ、学習材を理解するのではなくそこから何を考えるのかが課題になりました。そこで、本校では「調べれば分かること」とそこから「何を考えるのか」ということをはっきりさせるため、内容構造図を設定しました。この中で【調べると見えること】と【まとめると見えてくること】【総合的にまとめると見えてくること】とに分け、私達自身も授業の中で学習内容を見失わないよう、整理しました。これは結果的に児童の学習を見取る指標としても活用することができました。
 また、学習した内容を生かして他の事象についても考えようとする【見えてきたことを生かす】の設定により、社会科を学ぶ意味をより実感しやすくなったのではと考えています。

挑戦その3 考える授業づくりへのラストスパート

 安東小会場では「かかわりを通して新たな見方・考え方を獲得する社会科学習」をめざし、取り組みました。手探り状態でスタートした本校のため、本格的に「授業力」「教育力」について真剣に悩み、取り組み始めたのもスロースタートでした。それが一番の反省でもあるのですが、教職員全員が一丸となって盛り上げた追い込みはまさに「教師が化け、子どもも化ける」ラストスパートとなりました。
 いかに子どもたちの考えを引き出すか一人ひとりが真摯に考え、授業力の改善に臨みました。教師が児童の思考を読み、発問でつなぎ、待ち、相互の考えを絡み合わせ、最後には子どもたちの力で我々のねらいをも上回る考えが紡ぎ出される―。「みんなの言ったことをよく考えて、まとめることができた。」「友だちがいろいろなことを考えていることを知った。」「自分が調べ方を考え出した!」「新しく見えてきたことがある。」という得意気な言葉が子どもたちから出た時のうれしさは言うまでもありません。
 毎時間、毎日とはいきませんでしたが、確かな手応えを感じながらその日を迎えました。私達の追い上げにともなって子どもが日々、変わっていく様を目の当たりにすることができたことは、今大会一番の感動であったと思います。

挑戦その4 これからも続く「挑戦」

 大会終了後、3年生と特に深く関わってくださった松浦指導主事が「挑戦をここで終えるのではなく、挑戦し続けてください。これからです。」と激励してくださいました。全国大会のお陰で燃え上がった子どもたちとわれわれの火を灯し続けることこそがこれからの挑戦であり、課題であると肝に銘じている次第です。

 大会当日の午後、安野教科調査官から「安東は挑戦的な授業をするのが楽しみでした。」という文字通り「挑戦」に対する評価をいただき、うれしいかぎりでした。
 最後になりましたが、このように挑戦を重ねてこられましたのも、厳しさの中に温かさのある指導をしてくださった木村博一先生をはじめとする多くの指導者の先生方、長期間にわたってともに歩み、本校の研究を支えてくださった市小社研会員の先生方のお力添えがあったからこそと、感謝の気持ちでいっぱいです。
 
 このような貴重なチャンスをいただいたことに感謝しつつ、今後、「安東挑戦物語 第2章」をご覧いただける日を楽しみにしながら、日々の実践に取り組んでいきたいと考えております。